そして、開店前夜。
カウンターに頬杖をついたヴァルトさんは少し不安げな表情だ。
「ついに明日からオープンか。お客さんが来るといいけどね」
「きっと大丈夫ですよ!チラシもケットのおかげで全部配り終えたし、レティさんも友人に宣伝してくれているみたいですから」
自分にも言い聞かせるように答えたが、割と自信はある。
新作のメニューは、魔界をテーマに考えた。
ハンバーグやパスタなどメインの料理は、皿に描いたケチャップのデザインで魔界っぽさを演出し、チーズを重ねてクモの巣をはったように見えるピザや、器を棺桶に見立てたミニグラタンなど、見た目を意識したメニューもある。
そう。狙うは“映え”。
ここに来たお客さんが、写真を撮ってSNSにあげ、さらにレストランのアカウントでニコッターから国内に広く宣伝するのだ。
オープンしたら一ヶ月以内に常連客を獲得して、お客さんの笑顔溢れる店にしてみせる…!