やがて応接室へと通された私たちは、柔らかなソファに並んで腰を下ろした。アンティーク風のセンスの良い調度品が並んだ部屋は、洋館の雰囲気に合った落ち着く空間だった。
素早くティーカップが用意され、空調も心地よい。
至れり尽くせりとはまさにこのことである。
その時、ノックの音が響いた。
開いた扉の向こうから、使用人の彼女と白シャツの男性が現れる。
「待たせてしまってすみません。魔王様がおいでだと聞いて、急いで飛び起きたところでしてね」
うわ、イケメン。
第一印象はそれだった。
気怠げな色気のある薔薇色の瞳に、透き通るような白い肌。肩につくほどの金色の髪は、緩くひとつに束ねられている。
胸元ひとつ開いたボタンから覗く鎖骨に、つい視線が奪われた。
七十年前に人間界で働いていたと聞いたものだからてっきりおじいさんなのかと思っていたが、魔界の住人をなめていた。二十代後半といっても通じるほどの外見は、ルキと並んでも遜色ないほどの美形だった。
なに?魔物は歳を取らないモデルしかいないの?