黙って聞いていると、リム君は悲しそうな声で続ける。


「僕、その子を知っていたんだ。小さい頃からずっと病院にいて、おしごとをしている時、いつも窓に映るあの子を見てた。名前も声も知らなくて、でも、目が離せなかった。…だから、本部からの手紙に書いてあった病室で顔を見た時、心臓が飛び出そうだった。あの子だったから」


リム君は、本部からの指令文で初めて彼女の名前を知ったのだ。

なんて残酷なんだろう。神様のイタズラとしても心苦しい。


「大鎌を振れなかったってことは、まだその子は生きているってこと?」

「ううん。僕に寿命は変えられない。エスターは運命通りその日のうちに亡くなった。でも、僕が魂を狩らなかったせいでお空にいけなかったあの子は、この世界に縛られ続けるゴーストになっちゃったんだ」


ゴーストは日本でいう幽霊と似たようなもので、透けた体と死んだときの格好でこの世に留まる存在らしい。

記憶はそのままで話もできるが、来世に生まれ変わる予定が狂ってしまうため、早急に見つけ出して狩らなければいけないようだ。