私は慌てて話題を変えるように尋ねた。
「リム君の気配は感じます?」
「うーん、都市にはいるようなんだけど、飛び回っているみたい。どこか焦っている感じがするわ」
焦っている?どういうことだ?
その時、目の前のマンションの屋上で真っ黒な服がはためくのが見えた。風になびく銀色の髪に目が釘付けになる。
すると、その人影が意志のない人形のように屋上から飛び降りた。思わず息が止まる。
「危ない!」
緊迫した声で叫ぶ私。
しかし、重力に従って落下すると思われた体は、ふわりと宙に浮いた。そのシルエットは大きな鎌を背負っている。
「メディさん、あれって…!」
「間違いないわ。リム君よ」
あんなに目立つのに、どうして人に気付かれないのだろう?
メディさんに尋ねると、集中して探していた私は例外として、死神は存在感が薄いため普通のヒトの目には止まらないそうだ。
空を自由自在に飛ぶ姿を目で追っていると、きょろきょろと都市を見回す彼は、探し物をしているように見える。
どうしたんだろう?
その時、少年に向けてひらりと手を振ったメディさん。ぴくんとはねて動きを止めた彼は、こちらに気付いてくれたようだ。