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「ミレーナちゃん、魔王様と何かあった?」
都市の街頭を歩いていた時、突然爆弾を落とされた。
「な、何かとは?何もないですよ」
「隠さなくていいのよ。ヴァルトもケット君もだいたい察してるから」
予想外のセリフに目が飛び出そうだ。
私の気持ちはバレバレだったのか?気付かないフリをしながら、やりとりを見守られていたのかと思うと顔から火が出そうになる。
「そんなにわかりやすいですかね、私」
「ふふ。恋する女の子って感じでとっても可愛いわよ。魔王様はなかなか尻尾を出さないけどね」
恥ずかしい。
本人には伝わっていないのがせめてもの救いだ。立ち退き撤回に向けた戦いが大詰めを迎えているこの時期に、他のことに割く心の余裕はない。
拒絶でもされたらそれこそデッドエンドである。
「私はルキに気持ちを伝えたいわけじゃないんです。ただレストランを守りたいだけで…」
「健気ねぇ。魔王様は受け入れてくれると思うわよ?種族の違いなんて言い出す器じゃないだろうし。せっかくクリスマスが近いんだからプレゼントを渡すのはどう?」
「恋人でもないのにハードルが高すぎます…!それに、今はお店のイベントのことで頭がいっぱいですから」