なるほど。死神を職業にしているのか。魔物の世界は奥が深い。
もしかして、前世の私を狩って異世界に連れてきたのも噂の少年なのだろうか?
空を自由に飛べるなら、クリスマスのイベントに向けてぜひ手を貸してもらいたいところだ。
「リム君には、どこに行けば会えるんですか?」
「うーん、彼は多忙だからね。意外と魔界よりは人間界の方が見つけやすいかもしれないよ」
ヴァルトさんの言葉に、メディさんがにこりと笑った。
「それなら、ちょうど休業日で新作の用意も終わったし、今からふたりで都市に向かいましょうか。同じ魔物同士ならリム君の気配を察しやすいから」
「いいんですか…!ありがとうございます!」
早速コートを羽織ったメディさん。すでに準備は万端のようだ。
その時、扉のベルが鳴った。店に入ってきたのはルキである。
わっ、目が合った。
私は、ハロウィンの夜の出来事を未だに引きずっていた。自分の気持ちを自覚した途端、彼の一挙一動に胸が鳴ってしょうがない。
なにかと距離感が近いルキは、私がソワソワしていることに気付いたようで、不思議そうに顔を覗き込んだり、額に手を当てて熱を測ったりしてくる。
整った顔立ちが至近距離で見えることも心臓に悪いのだが、その仕草を無意識でやっているというのも厄介だった。