「うーん、お母さまの勘違いではありませんか?似た店名のレストランという可能性もありますし」


ルキに続いてフォローに回ったメディさん。この短時間のやり取りで事情を察したらしいケットとヴァルトさんも同調していく。


「そうそう。ミレーナなんて名前は知らないなぁ。僕、会ったこともないよ」

「勘違いといえど、せっかくご来店してくださったならお茶でもどうです?テラス席は風が心地いいですよ」


魔物達の連携プレーでうまくここから離れてくれれば。そんな淡い期待を抱いていた私。

しかし、幼なじみは眉を寄せたまま小さくため息をついた。


「仕方ない。ちょっと失礼します」


マントの向こうに影が降りた瞬間、勢いよく視界がひらけた。めくられた布の向こうに見えたのは、呆れた顔つきのシグレだ。

な、なぜバレた…!?一言も喋っていないのに。

すると、その表情を見た彼は軽く口角を上げて低く告げた。


「昔から、かくれんぼでお前が選ぶのは決まってカーテンの後ろだ。この俺がかわせると思ったか」

「ひぇっ…!」