仮装というか本物では?なんてツッコミが頭をよぎったが、ルキが思いのほか楽しそうなので口には出さなかった。
さすが、正装を着ると様になる。
「あの、写真撮ってニコッターにあげてもいいですか?」
「構わない。好きに撮れ」
こりゃあ、すごい反響だろうな。宣伝効果は抜群だ。
…と、カメラを構えて数枚シャッターをきった時。勢いよくレストランの扉が開いて、興奮まじりのメディさんがこちらへ向かってきた。
「ちょっと、ミレーナちゃん…!あれは一体どういうこと?」
「“あれ”?何かトラブルでもありましたか?」
やや焦りながら歩み寄ると、彼女はそわそわと耳打ちをした。
「違う違う。水くさいじゃないの。あんなにイケメンの彼氏がいるなら早く教えてくれれば良かったのに。ミレーナちゃんって、たくましい感じの年上がタイプだったのね」
「はい?なんの話です?」
「今、テラス席に、ミレーナちゃんを訪ねてきたっていう男の子が来てるわよ」