「そうだ、メディさん。月末のハロウィンに合わせてスイーツビュッフェのイベントを開催しようと思っているんですが、どうでしょう?」
「いいわね。オレンジや紫のスイーツを増やして、いつも以上に“魔界っぽい”メニューを考えてみるわ。オバケやドクロを形どるのも良さそう」
「わぁ、素敵!ワクワクしてきました!きっと、ルキ達も張り切って準備してくれると思います」
ハロウィンっぽいアイシングクッキーのデザインをさらさらと描き出すメディさんに、目を輝かせる。
ラフ画のメモを手に取った私は、魔界のコンセプトを意識した大イベントに期待が高まった。
これは絶好の宣伝チャンスだ。ハロウィンはちょうど休日だし、ニコッターを使っていつも以上にお客さんを呼び込まなくちゃ…!
わくわくしながら構図やライトの位置を思案していると、口角を上げたメディさんがカウンターに肘をついた。
「ねぇ、ミレーナちゃん。ひとつ気になっていたことがあるんだけど、聞いてもいいかしら」
「はい?なんでしょう?」
首を傾げていると、思いもよらない問いが投げかけられる。
「ミレーナちゃんって、魔王様の恋人なの?」