「ハァー....疲れた。こんなに笑ったのは久しぶりだ。安心しろ。帰ったら俺が責任をもって説明しておくから。」



しばらくして。


やっと落ち着いた王子様は、涙を拭いながらそう言って、小さく微笑む。


それは 初めて見る王子様の柔らかい表情だった。


少しは心を許してくれたという事だろうか。


信じられず王子様を凝視していると、王子様は照れたようにそっぽを向いてしまう。



「...そんなに見るな。穴があく。」


「ハッ!申し訳ありません!」



慌てて謝る私に、王子様はフッと頬を綻ばせた。


なんっだこの破壊力!


笑うとここまで雰囲気が変わるのか!


これ、王子様を慕っている女性達が見たら大変なことになりそうだな...。



「あの、お姉さん。もういい?」



そのとき、今まで私達のやり取りを見ていた子ども達が恐る恐る声をかけてきて、私はその存在を忘れていたことに気づく。


空気を読んで黙っていてくれたのか。


賢い子達だ。



「うん、ごめんね。大丈夫だよ。それにしても、君達はなぜ王子様と一緒に居たの?」


「そのお兄さんが王子様だってことを知らなくて、一緒に遊んでってお願いしたの。ごめんなさい...。」