そしてみっつめ。
王子様は本当に努力家だということ。
公務の中で分からない事があれば夜を徹して調べ、どれほど大変であっても完璧に仕事をこなす。
そんな王子様からは、この王国をとても大切に思っていることが伝わってくるから、私も負けずに頑張ろうと思うことが出来るんだ。
今日は特殊護衛団の任務も無いため、私はいつもより余裕をもって王子様の部屋へと向かう。
「リオ、ちょっといいか。」
突然かけられた声の方に振り返ると、何やら神妙な面持ちのルーカスさんがいた。
「はい、大丈夫です。どうなさったんです?」
「ここ最近、凶暴な魔物が街に多数出没していただろう?その原因が分かった。」
「え!?」
「王政に反対する魔術師の仕業だ。魔物に暗示をかけ、街に放っているらしい。」
魔術師...。
そうか、だから最近の魔物は自我を失ったように暴れ狂っていたんだ。
自制心を失った魔物は恐ろしく強いため、護衛団では歯が立たない。
そのため私たち特殊護衛団がいつも討伐に出向いていたという訳だ。
「では、その魔術師を捕えられれば魔物の被害は無くなるんですね。」
「ああ。魔物が街で暴れている間、そいつは必ず近くにいるはずだ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「ただ、その魔術師について分かっていることが少なすぎる。くれぐれも慎重にな。」
「はい!」
元気よく返事をすれば、ルーカスさんは頼んだぞと微笑んで、来た道を戻っていく。
そんなルーカスさんに頭を下げ、私も王子様の部屋へと向かった。