しかし、いくつか疑問が残る。
なぜ父上はこの女を俺の専属護衛騎士に任命したのか。
なぜ特殊護衛団という特別な組織に女が所属しているのか。
俺はかなり長い間この王国を離れていたため、そのへんの事情については何一つとして知らない。
俺が人を信用していないことは知っているはずなのに、父上は一体何を考えているんだ...
女がいない間に俺は王座の間を訪れ、父上にその旨を問うた。
「なぜリオをお前の専属護衛騎士にしたか...だと?」
「はい。恐れながら申し上げますが、私にそのようなものは必要ありません。」
「...セシルよ。お前の痛みは十分に理解している。だが、もうそろそろ前に進む必要があるだろう?リオは必ずお前の力になってくれるよ。」
「しかし...。」
「それに、お前の専属護衛騎士にリオを任命したのは、何もお前の為だけじゃない。リオのためでもあるんだ。」
あの女のため?
どういうことだろうか。
俺の専属護衛騎士となることが、あの女のためになるのか?
怪訝な顔をする俺を見て、父上は優しく微笑む。
「お前と同じように、あの子にも深い傷があるんだよ。」