...専属護衛騎士、だと?
『______セシル様。本当に申し訳ありません。』
その瞬間、封じ込めていた記憶の蓋をこじ開けられたような、嫌な感覚に襲われる。
誰のことも信用出来なくなったあの日。
俺はまた同じことを繰り返すのか?
どうせ人は裏切るというのに。
「女に護ってもらわずとも、自分の身くらい自分で守れる。早く下がれ。」
俺は動揺を悟られないように、強く女を拒絶した。
しかし女は懲りずに言い返してくる。
なんなんだ?
父上に頼まれでもしたか。
だとしてもこれだけ拒絶しているのだから、そろそろ出ていくだろう。
俺がそう高を括って、書類仕事に徹しようとしたその時だった。