それから私は、今までの出来事をひとつひとつ丁寧にルーカスさんに話した。
初対面で王子様にいらないと言われたこと。
それに激昂してしまったこと。
全然興味を持ってくれないこと。
それでも王子様を護りたいと思ったこと。
自分でも噛み締めるように話し終えると、ルーカスさんは穏やかな表情で私の頭を撫でてくれて。
「立派な騎士になったな。」
優しくそんなことを言うものだから、なんだかくすぐったい気持ちになった。
「お前はお前が正しいと思う道を進めばいい。」
「...はい。」
「でもな、リオ。お前は自分を顧みないことが多すぎる。」
「え?」
「もっと自分を大切にしてくれ。」
真剣な表情で私を見つめるルーカスさん。
心配してくれているんだと、痛いほどに伝わってきた。
でも...
「私は騎士です。」
そう言って微笑めば、ルーカスさんはため息をついて呆れたように小さく笑った。
「そうだな、その通りだ。」
「ふふっ。」
そう。
私は騎士で、自分の命よりも大切なものがある。
何があっても必ず護ると王子様に誓ったから。
もっと強くならなくちゃ。
「これ、ありがとうございました。」
肩にかけてもらっていた羽織りをルーカスさんに返して、私はゆっくりと立ち上がる。
そして小さくおやすみなさいと告げてから、自分の部屋へと戻った。