「そっか,よかった。昨夜電話しても出ないし,LINEでメッセージ送っても既読スルーだったから,心配で。――もしかしたら,あのまま入院することになったんじゃないか,って」
 俺が眠れなかった原因はそれだった。こちらから連絡を取ろうとはしていたのだけれど,瑠花からの折り返しが一向に来なかったのだ。
「ゴメンね,心配かけて。昨日は点滴に時間かかっちゃって,帰ったらもうクタクタで。先生からの電話にもメッセージにも気づかなかったの。今朝起きてから気づいたんだ」
「そうなんだ……。でも,元気に登校してきてくれてよかった。――ところでさ,昨日話してた件だけど」
「うん」
 俺は瑠花に,前日の放課後に学年主任の西本先生にお願いしたことを話した。
「……というわけで,森嶋の授業の出欠に関しては,全教科の先生方が配慮して下さることになったから。もちろん俺もな」
「そっか。わざわざありがとね。……ただ,なんかわたしだけ特別扱いされるみたいでみんなに悪いなあとは思うけど」
 彼女は真面目だから,クラスの連中に気を遣っていたのだと思う。別に気にする必要なんてなかったのに。
「いや。でも,それで森嶋がツラい思いをしてるようだったら,他のヤツらにも病気のこと話すつもりでいるから。江畑もその時は協力してくれるって」