「……じゃあ,先生から話してもらっていい?」
「分かった。あとは俺に任せて」
「うん」
 彼女が納得してくれたので,俺は他の先生方に瑠花の病状について説明することにした。
 まさかこの選択が,瑠花につらい思いをさせることになるとは夢にも思わずに……。

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「――みんな,プリントは行き渡ったかな?」
 その日の終礼の時間,三年生は全クラスで進路希望調査の用紙が配られた。――もちろん,俺のクラスでも。瑠花の手にもその用紙は渡った。
「今の時点で決まってる進路を第三希望まで書いて,今週の金曜日までに提出するように。いいな?」
 ――進路希望調査。都立の進学校なので,もう二年生の初めから進路についてはやいやい言われる。
 生徒達は「え~,またかよ~」とか「面倒くさいなあ」とか文句を言っていたが,進学校に通っている以上はグチっても仕方ないと思う。
 そんな中で一人,もう進路が決まっている生徒が一人。――他でもない瑠花だった。