答えてくれたのは，江畑(えばた)日奈(ひな)という女子生徒だった。「瑠花」という呼び方からして，彼女は森嶋瑠花の友達らしい。
「入院？学校には連絡来てないな」
　それよりも，俺はその答えの内容の方が気になっていた。
「わざわざ学校に連絡しなくても，あたしから先生に伝えてくれると思ったんだよ，瑠花のお母さん」
「そっか……」
　少々納得(なっとく)はいかなかったけれど，もうすぐ始業式が始まるので講堂(こうどう)に移動しなければならない。仕方なく，この話はこの時には打ち切ることにした。

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　――その日の終礼(しゅうれい)後。
「おーい，江畑。ちょっといいか？」
　俺は帰り支度をしていた江畑日奈を呼び止めた。森嶋瑠花の入院について，もっと詳(くわ)しく話を聞きたいと思ったからだ。