クラス対抗球技会当日。
空は、憎らしいくらいに晴れ渡った。
どうせなら、大雨でも降って雷でもなれば、今の私の気持ちにぴったりなのに。
メンバーは、現役バスケ部の真悟、サッカー部の佐藤君、バレー部の市村さんと田山さん、そして私の男女混合で5人。
私以外はみんな現役の運動部。言わばクラスとしては、バスケを勝ちに行くつもりのメンバー決め。なのに、そこに私という最大のウイーク・ポイントが入ってしまった。
幾ら望まぬ結果だとは言え、かなりのプレッシャーを感じてしまう。
「はぁっ……」
ここ数日で、板に付いてしまった溜息がまた漏れる。
第1試合は、各学年の1組と7組が対戦する。私達2年1組、対する2年7組はそう、あの、マルチーズ麗華のいるチームだ。
「あら、広瀬さん、試合放棄かと思ったら、一応来たのね?」
クスクス。
ウォーミング・アップする私に忍び寄り、麗華はあの勘に触る笑を向けてきて、またもやむかっ腹が立ってしまう。
「あの約束、忘れていないわよね?」
忘れるも何も、あなたが一方的に押しつけたんでしょうが。はっきり言って今は、マルチーズに構っている余裕はない。
私が無言でウォーミングアップを続けていると、マルチーズはニコニコ笑顔で「お互いがんばりましょう」と私の背中をバチンと一叩きして行ってしまった。
良く分からない子だ。イマイチ真意が掴めない。
私はバスケ部に入らないと断ったんだし、真悟と付き合いたいなら、私に構ってないで本人に言えばいいのに。
「翔子、行くぞ!」
真悟の声に私は覚悟を決めた。
ここまで来たら、せめてみんなの足を引っぱらないようにするしかない。
ピィー!
今、試合開始のホイッスルが鳴った。