「あのね、佳宏。私 赤ちゃん産んだ後 すぐに 仕事復帰してもいいかな。」


旅先で、美咲は 佳宏に相談する。

露天風呂で愛し合った後で 美咲は 佳宏にもたれて話す。
 

「育休、取らないってこと?美咲、大丈夫なの?」

佳宏は、驚いて美咲を見る。
 

「うん。産んでみてだけど。佳宏が良ければ 保育園 仮予約しないといけないから。」

美咲も、佳宏の顔を見て言う。
 

「美咲、会社に 気を使っているの?」

佳宏は、少し困惑した顔で 美咲に言う。
 

「それも 少しはあるけど。色々考えたの。一年間 育休取る意味 あるかなって。詩帆ちゃんだけ 保育園に預けるのも 嫌だし。」


美咲は、赤ちゃんと二人で 家にいる不安を まだ拭いきれていなかった。
 

「でも 少しは美咲 体を休められるでしょう。」

佳宏は 心配そうな顔で 美咲を見る。
 

「もし育休取ったら その後は 復帰できないと思う。」

美咲は小さく答える。
 

「それなら それでいいよ。美咲の体が 一番だから。無理しないで。」

佳宏は、そっと美咲のお腹を撫でる。
 

「ありがとう。でも 詩帆ちゃんと この子が元気なら 私 仕事続けたい。ずっと家にいると ろくな事 考えないし。」


美咲も 佳宏の手に 自分の手を重ね お腹を撫でる。