その男の子がくれたのは、ミルクティーだった。



暖かい暖かい、いい匂いのする、のみもの。





それから私と翼はよく一緒に帰るようになった。



たまに絡まれるいじめっ子たちから守ってくれるように、いつもそばにいてくれた。





……でも、別れは突然で。



お父さんの転勤で、翼は引っ越してしまったのだ。







『 ぜったいに、もどってくるから 』







そう言い残して、
名前も知らない街に言ってしまった。





それからは音信不通。



まだ、ケータイも持ってない歳だったし、
新しい住所も聞いていなかったから。







「 ちょっとお、舞衣? 聞いてるの? 」



「 ん!? あー、えっと……なんだっけ? 」



「 もう〜だからウチの彼氏が―――― 」







友達にもだんだん彼氏ができはじめて、
" 運命の人 "なんて言ってられないのも分かってる。



でも、不思議と焦りはなかった。





たとえその人にもう、会えなかったとしても。