しばらく男の子たちと口喧嘩をしていたけど、
どうやら庇ってくれた男の子が勝ったようで。







『 もう、だいじょうぶ 』







そう言って差し出された手。



今まで誰も、差し伸べてくれなかった手。



その手を握った瞬間に、涙が溢れてきた。







『 え!? なんでないてるの!? 』







驚いているその男の子に
ただ泣きじゃくっている私は何も言えず。



困ったように" じゃあここで待っててね "と言って
どこかへ走って行ってしまった。



涙も流れきって、目を腫らして公園のベンチに座っていると、さっきの男の子が何かを持って走ってきた。







『 はい! おまたせ! 』







ちょっとつめたくなっちゃったかも、と笑って
暖かいペットボトルを私に手渡す。







『 あ、…………あり、が……とう 』



『 どういたしまして!
  そうだ、名前はなんていうの? 』



『 ま、舞衣…… 』







そっかーまいちゃんかー、とニコニコしながら手を差し出す。



さっきと同じように
小さな手を、私に。







『 ぼくは翼! よろしくな! 』







つばさくん、と名前を呼んでみる。



私の小さな心臓が、ギュッと縮んだ気がした。