『 ……こんな大切な物っ 』







もらえない、と蒼大に押し付ける。


本来はきっと両親にあげたり
自分で大事に持っているものだ。







『 おれの気持ちだから 』







そう言って、押し付け返される。


蒼大はしぶしぶ受け取った私の頭を
ポンポン、と撫でた。







『 これはお前が持っててほしい 』







なんかお前が持ってると
グラウンドの魔よけになりそうな気がするから。



悪戯っぽく笑うその笑顔に
何も言い返せなかった。



返すつもりで受け取ったそのボールは、
今も大切に自分の机の上に飾ってある。







「 今年も、夏が来たよ 」







空を見上げて呟く。


花束を2つに分けて、
墓前の花立てに挿した。