私には蒼大という幼なじみがいる。


野球バカなのに成績は優秀、
先生からも1目置かれている存在。


そんなあいつが私の幼なじみで、
近くにいれることが本当に誇りだった。



……あれは確か、地方大会の準決勝を終えた
翌日のことだっただろうか。



帰り道、蒼大と2人で歩いて帰っていた。







『 なあ、なんで瑞葉はマネージャーになったんだ?』







不意にそんな事を尋ねてくる。


少し返答に困って考えた後に
とても在り来りな答えを返してしまった。







『 んー、野球好きだからかな。あんたのせいで』



『 え、おれのせいかよ 』







そう言って笑われてしまう。


私が野球好きな理由は、
昔から蒼大の高校野球観戦に付き合わされたり
キャッチボールに付き合わされたりしてきたから。



……でもマネを選んだ本当の理由は、それだけじゃない。


頑張っている君をずっと見ていたくて。
1番そばで、応援していたくて。


……そんなことは本人に言えるはずもない。







『 ……まだ、いいよね 』







自分の気持ちを伝えるには少し早いかな、なんて
気楽に考えていた。