「その事件なら、さっき新聞で見た！先生と何か関係がないか手がかりがないか、調べてみるよ」

「ありがとうございます！！」

村田刑事は玲奈の行方を必死で調べてくれている。透も玲奈を見た人がいないか聞いて回っているが、手がかりは未だゼロだ。

「そうだ！あいつにも連絡しとこう」

透はまた電話をかけ始める。かけた相手は洋一だ。洋一はすぐに電話に出てくれた。

「倉木！宍戸の恋人も殺されたアルファベット事件がまた起きた！！」

「えっ！？また起きたのか！！」

洋一が驚き、透は新聞に載せられた事件のことを話す。洋一は「またそんな事件が……」と悲しげな声で言っていた。

「宍戸も見つからないまま犯人はまた事件を起こしているし、どうしたらいいかもうわかんねえ！！」

透が焦った声でそう言った刹那、電話の向こうから人の呻き声のようなものが聞こえた気がした。透は口を閉じ、耳に神経を集中させる。

「浜田？」

洋一が聞き返してきた。呻き声はもう聞こえてこない。

「何でもない。聞いてくれてありがとう」

気のせいかと透は電話を切る。そして、事件現場に行くために支度を始めた。