門の隙間から見えるはずの本殿がない。
黒い塊が見えた。
嘘だと思いたかった。
屋敷はどこにいったのか。

そもそも、私が住んでいたところはここで合っているのだろうか。
目の前にあるのは。
火事で燃え残った、炭の塊。
…炭の家だった。

「出してください」
私は思わずドアを開けて。
転げ落ちたけど。
それでも、門の前に走った。
この門は見覚えがある。
我が家だ。
でも、目の前に家はない。
…燃えてしまったのか。
黒い木材だけだ。
黒い塊が目の前に落ちている…だけだ。

「カレンちゃん、行くよ。もう」
ポンっとクリスさんが私の肩に手を置く。
「…や」
足がガクガクと震えてくる。
「いや…いや!!!」