「ごめんね、待たせちゃったよね」
「そーじゃない」



ちゃんと言葉にしてほしいし、言ってくれなきゃわからないし、いつもの海翔くんと違いすぎるから、何もわからない。

海翔くんは謎が多すぎて、1年も一緒にいるのにわからない。



「じゃあ、何で?」
「わかってよ」

「わかんないよ」
「……はぁ」




ため息つかれてもわかんないし、いまわたしの頭にあるのは、言うのが恥ずかしいくらいの自惚れだった。

言っても「そんなわけないじゃん」って意地悪されるくらいの自惚れだった。




「ヤキモチ……?」


恐る恐る顔を窺って、わたしよりずっとずっと高い位置にある顔をみると、急にその顔が赤く染った。

答えはなかなか返ってこなかったけど、ちょっとだけ赤く染った頬が答えで、わたしが思っていたものと同じってことだ。



「ヤキモチ焼いたの?」