動けないように後頭部に添えられている手に、重ねられている唇、ぜんぜん優しくないのにドキドキして、頭がぼーっとしてくる。




「……っ」


息が苦しいから、海翔くんの背中を叩くけど、効果はなくて、唇を割って入ってきた舌が、行き場をなくしたわたしの舌と絡まる。

閉じていた目を開ければ、目をつむっている綺麗な顔が目の前にあって、熱が洩れて、熱い熱いなにかが這い上がってくる



「あ……まとく……んっ?」




わたしの声に気づいた海翔くんが唇を離して、いつもみたいにだるそうに見るんじゃなくて、いままでに見たことのない顔でわたしを見る。

唇を離したのにふたりの息が荒くて、整っていなくて、必死に息を吸い込む。



「怒ってる……?」
「怒ってるかも」