なぜそんなことを言うのか不思議でたまらない。


「えっ、何で急に……冗談でしょう?」




下げていた頭を上げて、じっと見たけど、その瞳は真剣で、冗談を言っているようには見えない。

だから余計に驚いているし、どうすれば良いかぜんぜんわからない。



「冗談じゃない。だってふたり恋人に見えないってみんな言ってるじゃん?あいつ、芙結のこと好きそうな感じもしないし」




急すぎて頭がなかなか追いつかないけど、言っていることを全否定はできない。



「で、でも……っ。わ、わたしはこれでいいし、海翔くんがわたしのことすきじゃなくてもわたしはすきだから……」




ここは踊り場で、目の前の階段を上がれば屋上だから人通りはなくて、わたしの焦った声だけが廊下に響き渡る。

いつもなら海翔くんと真っ直ぐ下校だけど、今日は告白というものをされていて。