「成瀬さん」 水谷くんはトレードマークのメガネをクイッと持ち上げて、わたしに向き直った。 「は、はい!」 なにを言われるのかと、前のことがあるから思わず身構えてしまう。 「俺はまだ認めたわけじゃないけど、失礼な発言をしたことは謝る。ごめん」 「は? なに? お前、綾乃にもなんか言ったの?」 それまで和やかムードだったのが一変。 千景くんは身の毛もよだつほどの凄まじいオーラで、水谷くんを睨んだ。