「大丈夫だって、その子は絶対門から出てくるわけだし見逃しさえしなければ確実にその子に返せるんだから」



「…分かったよ」



若干不安はあるが陸の言う通りこれが一番手っ取り早くその子に生徒手帳が返せる。




「あ、ちなみに俺は今日放課後居残り命令が出たから行けない」



「は?」




よく提出物を出さない陸は度々居残りをさせられている。



だけど今問題なのはそこじゃない。



「陸が行くとか言い出したんだろ?」


自分で女子高に行くと言い出したくせに何なんだ。




「今思い出したんだよ!俺も行きたいのは山々なんだけど、居残り命令に逆らったら滅茶苦茶怒られるからさー」




そう言う陸は今まで何度か居残りせずに帰ったことがある。

その翌日は教師に怒られていた。




「あー、なんでよりによって今日…!
あの鬼教師め~!」



そう言う陸は本当に悔しそうだ。