「陸そればっか」


「だってさ、普段女子高に俺らが行くなんて不審者じゃん!
でも今回は違う、ちゃんと落とし物を届ける役目がある」



胸を張って言う陸に呆れた。


それを見た陸は真面目な顔をして言う。



「でも実際交番とかに届けるよりいいんじゃね。
ミナトはその子の顔分かるんだろ?」



「なんとなくは」


あのときは少ししか見えなかったけど、綺麗な子だった。


生徒手帳の写真も綺麗な子だった。
そしてそれは間違いなく昨日の子。




「ならそんな交番とか回りくどいことする前に直接届けた方がいいって。
相手も早く見つけたいだろうし」



…確かに言われてみれば陸の言う通りだ。




誰のなのか分かってるんだからその子に届ければいい。


だけど…



「女子高の前で待ち伏せする訳?」


「せいかーい」



そんなことして不審者に見られないだろうか。