その日の夜、アイリーンはリンネに手伝ってもらい、晩餐用のドレスに着替えをした。

なぜ、急いで着替えることになったのか、それは数時間前にさかのぼる。

「ご歓談中のところ、失礼いたします。
本日、晩餐の席にて国王陛下がアイリーン様の歓迎会を開くとのことです。

時間は午後6時、場所は食事室です。
服装の指定等はないので、気軽な格好で来てほしいとのことです。」

気軽な格好でと言われても、国王や王妃の前で変な服装はできない。
今着ているものもデイドレスの為、着ていくことはできない。

「ヴァルテリ様、どうしましょう?
私、ふさわしい服なんて持っていない…」

「父上は気軽な格好でとおっしゃっていたのなら…

一番お気に入りのイブニングドレスはどれだ?」

「私のお気に入りは、このドレスです。」

「うん、アイリーンにとても似合いそうだ。
その服を着てくるといい。
アイリーンがその服を着ているのも見たいしな。」

自分の父親よりも地位が上の人と食事をする機会がなかったアイリーンは級の出来事にどうすればいいのかわからなくなってしまっていた。

しかし、ヴァルテリの的確なアドバイスのおかげで、アイリーンはどうにか危機を脱することができそうだった。

これが数時間前の出来事である。

そして今、リンネに髪を整えてもらったアイリーンは隣の部屋で準備をしているヴァルテリを待っていた。