「さあやん、見て見てぇ!すっごぉい生クリームぅ!」


「ここのパンケーキは生クリームがたっぷりなのが売りなんだよね?それにしてもすごいね」


「見るだけで胃もたれ...」


「ちゃっきーはアイスコーヒーなんだからいいじゃん。文句言わないでぇ!」



と言うとすぐにパンケーキを頬張る凜くん。



「う~ん...!おいひぃ~」



口の回りにたっぷり生クリームを付けて幸せそうに満面の笑みを見せる凜くん。


まだここには向日葵が咲いている。



「さあやんも食べなよぉ」


「うん。じゃあ...いただきます」



これも人生初。


家ではパンケーキじゃなくてホットケーキで上にバターとメープルシロップがたっぷりかかっていた。


月1回の楽しみで、三上さんが粉をふるい、卵を片手で割りいれ、牛乳をとくとくと入れて泡立て器で混ぜる。


生地をお玉で掬ってフライパンに流し入れ、表面に泡がプツプツとなるまで待つ。


ひっくり返す時は緊張してゴクンと唾を飲み込んでいた。


こんがりと良い焼き目がついた面が現れると一気に高揚する。


待ちきれなくてテーブルにあった手作りのクッキーをつまみ食いしたりして待つこと3分。


ほかほかのホットケーキがやってくる。


メープルシロップを全体に回しかけ、指に垂れたら舐める。


そして、口を大きく開けてぱくり。



「うん...美味しい」


「やったぁ!さあやんにも喜んでもらえたぁ!」



あの素朴な甘さと美味しさとは違うけれど美味しい。


生クリームも甘すぎず、口であっという間に溶ける優しい味わい。


しっとりかつもっちりの生地とのバランスが絶妙。


私は凜くんに負けじとぱくぱく食べ進めた。


そんな私と凜くんの様子をまるで地球外生命体を見るような目で八代先輩は見ていたのだった。