オレが姉ちゃんの部屋に入ってすぐ、姉ちゃんに言われた最初の言葉は「わざわざメールを送ってこなくても、直接ドアをノックすればよかったのに」だった。

 オレは「ドアをノックしたら音が響くから」と返答した。

 すると姉ちゃんは「響くと何かまずいことでもあるの?」と訊いてきた。

 オレは「別にいいんだけど、なんとなく葵には気付かれたくなかったから」と返答した。

 姉ちゃんは「そうなの」と言って、その後、オレの話を聞いてくれた。



 オレは父さんから聞いた話を姉ちゃんに話した。

 姉ちゃんは黙ってオレの話を聞いてくれた。



 姉ちゃんはオレの話を最後まで聞いた後、「そうなんだ。父さんも辛い思いをしてたんだね。でも、今、父さんが元気そうでよかった」と、安心した様子だった。


 オレは姉ちゃんに全てを話して姉ちゃんの部屋を出た。