そして新学期、クラス替えの日になると、太一はいつものようにこの言葉を口にする。


「新しいクラス、どんなメンバーだろうな。梓と一緒だったら嬉しいなぁ」


 やっぱり出た。

 今、太一が名前を出した梓も幼なじみ。

 太一と同じで幼稚園の頃から一緒だ。


 梓はしっかり者で、太一がふざけていると、いつも『太一‼』と言って太一を𠮟っている。

 ……と言っても、オレもたまに𠮟られている。

 しかし、どういうわけか、太一は梓に叱られているとき嬉しそうにしているように見える。

 なぜかはわからない。

 わからないけど、そう見える。

 そういうときの太一の考えていることはよくわからない。