四月に入った。



「隼翔、早く行こ」


「ああ」


 今日は葵と一緒に、いつもの思い出のあの場所に行く約束をしている。


 外は良く晴れて絶好の出かけ日和。



 家を出て外に出た瞬間、春の風が吹いて、その風が春の香りを運んでくる。


 風が運んでくる春の香りに包まれながらオレと葵は、まるでトンネルのようになっている桜の木の道を歩いている。

 そのとき桜の木を見た。

 桜の花は半分ほど咲いている。

 今年も桜たちは美しい。

 その美しさは毎年裏切らない。


 そんな美しい桜の木の道を歩いて、いつもの思い出のあの場所に行く。


 いつもの思い出のあの場所に行くまでの道のりは特別な空間に包まれている。

 この道を歩くと、とても心が癒される。