夏休みが明けてからの高校生活はとても早く感じた。


 テストに学校行事に三者面談、受験勉強などの受験関係……いろいろやることがありすぎたからか、気付いたらあっという間に卒業式の前日になっていた。



「ただいま」


「おかえり、隼翔」


 家に入ってすぐのところに葵がいた。


「葵……」


 オレは、そのまま葵の顔を見つめていた。


「どうしたの? 隼翔」


「え……」


「なんか、ぼーっとしてるみたいだから」


 ……葵にはそう見えるのか……。


「そんなことないよ」


 オレは葵に心配かけないようにそう返答した。


「本当?」


「ああ」


「ならよかった」


 オレの返答を聞いてほっとしている葵。


「葵は、今からリビングに行くのか」


「うん」


「オレも着替えたらすぐにリビングに行く」


「うん、わかった」


 オレはそう言って、自分の部屋に入っていった。



 自分の部屋に入ったオレは一人静に考えていた。

 ……というか、思い出していた。


 梓……。


 オレが梓のことを思い出している理由……。

 ……それは……今日、オレは……梓に……告白……されたから。


 オレは、それまでずっと梓の気持ちに全く気付いていなかった。