「隼翔……」


「だから遠慮なく話してほしい」


「うん……ありがとう、隼翔」


「葵……」


「……あのね……あの……」


 葵はまだ話しづらそうにしていた。


 オレは葵が話すことができるまで待とうと思った。

 すると……。


「……遼祐さん……」


 えっ⁉


「遼祐?」


 葵の口から遼祐の名前が出てきたからオレは少し驚いた。


「うん……遼祐さん……」


 それは一体……?


「遼祐がどうした?」


「うん……」


 葵……?


 葵は、とても話しづらそうにしていた。


 オレはこれ以上、葵に訊いていいのか迷った。


 訊いていいのか迷いながらオレは葵の顔を見ていた。

 そして思ったのは、葵が話しづらそうにしているのに、これ以上、訊くのはやっぱり気の毒。

 だからオレは葵に『無理して話さなくていいよ』と言おうと思った。

 そのとき……。


「……あのね……今日、遼祐さんと接してみて、とても感じの良い人だと思ったよ」


 葵……?


「ああ、遼祐は本当に良いヤツだよ」


「うん、それは本当にそう思ってる」


 葵……?


「……でもね……でも…………」


「……でも……?」


「……遼祐さんとは……学校内と登下校以外で…………」