そして全員集まったところで、
「じゃあ、葵、どこに行きたい?」
太一が葵に訊いた。
「オレが行きたいところでいいの?」
「当たり前だろ。今日は葵が主役だぞ。お前が行きたいところでいいに決まってるだろ」
「ありがとう。どこがいいかなぁ」
葵はどこに行きたいか迷っていた。
「いいんだぞ、どこでも」
太一は葵に行きたいところを言いやすいようにしようと、そう声をかけた。
「ありがとう」
太一にそう言ってもらったけど、葵はまだ、どこに行きたいか迷っていた。
たぶん葵は、みんなでにぎやかに楽しめるところを考えているのだと思う。
みんなで楽しめるところ……ボウリング、カラオケ、遊園地……その他、みんなでにぎやかに楽しむことができそうなところはいくつかある。
でも、きっと葵はその中から行きたいところをほぼ決めているのではないかと。
……でも、そこに行きたいと言わないのはオレに気を遣っているのかもしれないと思った。
オレは余計なことだとは思ったけど、もし葵がオレに気を遣っているのだとしたら、そんな必要はないという気持ちで言おうと思った。