「うん、ちょっと美術館へ行こうと思って」


 美術館……葵らしいな。

 葵は美術部で、芸術鑑賞は好きだもんな。


「へーえ、中学生なのにずいぶん落ち着いたところでデートするのね」


 ……⁉ デ……デート⁉ 葵がデート⁉ 本当なのか⁉ 葵……⁉ ……って、な……なに、オレは動揺しているんだ? オレには関係ないことだろ。


「違うよ。オレ一人で行くんだよ。デートは楓姉ちゃんの方でしょ」


 ……なんだ……デートじゃないんだ…………って、なんでオレは、ほっとしているんだ?


「まぁね。……あっ、そろそろ時間。もう、出ようかな」


 姉ちゃんがそう言った後、オレも時計を見た。


「あっ、オレもそろそろ出る時間だ」


 オレは、葵もそろそろ出るのなら途中まで一緒に行こうと思った。


「葵は? 今、出るなら途中まで一緒に行くか」


「オレは、もう少ししてから出るよ」


「そうか。じゃあ、行ってくる」


 オレは、そう言って梓との待ち合わせ場所へ向かった。





 待ち合わせ場所に着いた後、オレと梓は昼ごはんを食べる店をどこにしようか相談をしていた。


「隼翔は何が食べたい?」


「何でもいいけど」