「……あのね……」


 少し経って葵が口を開いた。


「オレが、隼翔が行っている高校に行きたいって言ったのは、隼翔と一緒の高校に行きたいからだよ」


「……でも、せっかくもっと上の高校を目指すことができるのに、もったいないよ。それにオレと一緒の高校に行くって言ってもオレは来年三年になるから、葵と一緒に高校にいられるのは、たったの一年間だけだぞ。それでもオレと一緒の高校に行きたいのか」


「うん、行きたいよ、隼翔がいる高校に。たとえ、たった一年間だけでも隼翔と同じ高校で高校生活を送りたい」


「……葵……」


「それに隼翔が行っている高校には美術科もあるから何の問題もないよ。だから心配しなくても大丈夫」


 葵はそう言うと、とびきりの笑顔を見せた。


「……葵……」


 オレは、たまらなく葵を抱きしめたくなった。


「……隼翔?」