「そうだ、写真撮ろ」


 葵はそう言うと、スマホで写真を撮り始めた。


「あの花も撮りたい、この花も撮りたい、撮りたい花がいっぱいあって、わくわくしちゃう」


 葵は目をキラキラ輝かせて、あっちの花を撮ったり、こっちの花を撮ったりしていた。

 そんな葵の様子を見て、オレは葵と植物園に来て本当によかったと思った。


 葵は夢中で植物の写真を撮り、オレはそんな葵のことを見ていた。


 そうしていたら、あっという間に午後五時になった。


「観て、隼翔。植物たちがイルミネーションの光に包まれて、さっきとはまた違った魅力にあふれているよ」


 葵の目はキラキラ輝きが止まらない。

 オレも、さっきとはまた違う植物たちの美しさに見入った。


 オレは植物たちの美しさと、その美しい植物たちを観ている葵の美しい横顔を見ながらオレはなぜかふと、あることを思い出していた。