「…………罪な奴」
姉ちゃんは、意味不明なことを言った。
なぜ、『罪』なんだ。
「……? ……何言ってるんだよ、姉ちゃん」
姉ちゃんがわけのわからないことを言ってオレが理解不能になっていたとき、葵が入ってきた。
「隼翔兄、出かけるの?」
「ああ」
「梓とデートだって」
まったく、姉ちゃんは‼
「だから、違うって言ってるだろ‼」
「なにムキになってるのよ」
「だって、姉ちゃんが……」
葵、違うんだ、デートじゃないんだ。
信じてくれ、葵…………うん? あれ? なんでオレ、こんなにも葵に言い訳するようなことを思っているんだ……?
「……隼翔兄、梓ちゃんとデートするの?」
葵‼ だから違うんだって‼
「だから違うって。ただの買い物だよ。理久の誕生日プレゼントを一緒に探してほしいんだってさ」
「そうなんだ……」
葵の返事は元気がないように聞こえた。
どうしたんだろう、気のせいだったらいいけど……。
「ほら、理久、葵も覚えてるだろ、梓の弟。オレが小学生の頃、理久も入れてみんなで遊んだときに葵も一緒だっただろ。オレと梓と太一が小学校を卒業してからも、お前と理久と希一でよく遊んでたよな」