そして、ようやく食べるものが決まって注文をした。


 注文したものを待っている間、葵は窓から見える外を見つめていた。


「もう十二月、早いねー。あっという間にクリスマもくるね」


 葵はまだ窓の外を見つめ続けていた。


「ああ、そうだな」


 オレもそう言うと、窓から見える外を見た。


「この時期は日が暮れると、街中のイルミネーションが、まるでキラキラ輝く宝石のようなトンネルが続いているように見える。カップルの人たちは、そのキラキラ輝く宝石のようなトンネルの中、手をつないで歩いている。……オレたちも一緒にこのトンネルの中、手をつないで歩きたいな……」


 ……葵……。


 オレは窓の外に向いていた顔を葵の方に向けた。


 葵はまだ窓の外の方を見ていた。


 オレは、どう言えばいいのかわからなかった。