「……それでオレと遼祐が進路の話をしていて、そのときにふと思ったんだけど…………葵は中学三年だろ。……だから……この時期だし…………もう志望校とか……決まってるんだろうな……なんて思ってさ……」
「…………」
……葵……? どうして黙っているんだ……?
このまま葵に訊いてもいいのか……? 訊くぞ、葵。
「……葵……はさ…………どこの高校に……進学したい……んだ?」
「…………」
葵―‼ どうして無言なんだー‼
「……隼翔」
葵……?
「うん?」
どうした、葵‼ オレの名前を言うだけじゃなくて、なんか言ってくれ‼
「……あのね……本当は隼翔にもう少しの間、言わないでおこうと思ったんだ、志望
校のこと」
「……えっ……?」
「父さんと義母さんと楓姉ちゃんにも『隼翔兄の前では言わないで』と、お願いしたんだ」
「……なんで……?」
オレは、わけがわからなくなっていた。
「……だって隼翔のことを驚かせたかったんだもん」
「……驚かす……?」