きれいだけど切ない気持ちにもなる自然の空間をオレと葵は、時々足を止めながらゆっくりとゆっくりと歩いた。
ひらひらと舞い降りる桜の花びらを手のひらに乗せながら…………。
オレと葵は、いろいろな思いを秘めながら家に帰った。
「おかえりー」
姉ちゃんの声。
「ただいま、姉ちゃん」
「ただいま、楓姉ちゃん」
オレと葵が二人で帰ってきたところを姉ちゃんが見た。
……ということは、きっとまた姉ちゃんは、いつものようにあの言葉を言うだろう。
「あんたたち、よく出かけるけど付き合ってるの?」
やっぱり。
姉ちゃんは、オレと葵が出かけると、いつもこんな感じで言ってくる。
「何言ってるんだよ。弟と出かけることだってあるだろ」
姉ちゃんにその言葉を言われる度に、オレもこうしていつものように同じ言葉で返答する。
「ふふっ、冗談よ」
「まったく、面白がるなよ」
オレが姉ちゃんにそう言っているときの葵の様子は、やっぱりいつものように、そんなことはお構いなしのようだ。
「そういえば楓姉ちゃん、将輝さん元気?」
そして普通に姉ちゃんに話しかける。