「広瀬くんって何で深夜にバイトしてるの?」


こいつ油どころか水まで売る気か、
俺意味わかんねぇ

頭回らなくなってきた。
それもそう
今深夜3時だって。



「まぁ、時給がいいから?」
高校生のバイト先選ぶ理由なんて
そんなもんだろ。


いや知らんけど。
そもそもこのど田舎にあるバイト先なんて
生徒が休みがちで開いてるとこほぼ見たことない近所のそろばん教室の受付か
ほぼ隣の小学校のガキの溜まり場、駄菓子屋さんの店番か

それかここくらい。




この3択は
絶対コンビニだろ。



「そっか、私もバイト始めよっかなぁ」


「は?」


「コンビニって楽?大変?」


今度は何こいつ…











あー

まってそういうこと?




もしかしてバイト先の視察に来てたわけ?

それで毎週深夜に
いや何で深夜にわざわざ来んの、
学校帰りに来れば良くない?


あ、こいつ深夜に活動的なんだっけ
それも意味わかんねぇけどな。


「まぁ俺に出来んだからそんな大変じゃないだろうな」


自虐か

「そっかぁ、私にも出来るかな?」


だーかーらー!
上目遣いで俺を見つめんな

俺はさっき
お前の潤んだ瞳が弱いって統計が出てんだよ




「…勝手にすれば」

ここは難を逃れるため
目を逸らしつつ曖昧な返事に留めておいた。





「広瀬くんってツンデレだよね」


「はぁ?どこが」



「だってこうやって話すときめっちゃツンじゃん」



「デレはどこ行った」


「さっき。
私が外で待つって言ったとき。


あれ、心配だから外出てきてくれたんでしょ?」




何だその











ちょっと期待を込めた目つきは…




「まぁ………そうだけど…」




あぁ〜〜〜
何か居心地わりぃ〜〜〜



俺の心のオアシス、深夜のほぼ誰も来ないコンビニって神聖な場所が
この渋谷美里のせいで崩れ去ろうとしてる



「…何で私がおつり持ってこないか知ってる?」


「500円玉集める趣味でもあんだろ」


「違う残念、おつりがあれば…













それだけ広瀬くんの前にいれる時間が増えるでしょ」









あ、
もしかしてこれすかクラスメイトの男子諸君



こいつ、渋谷美里の勘違いさせ行動


これなのか、
だとしたら俺は今












盛大に勘違いの波にのまれかけてるけど。



「じゃあ毎週来んのは何で」


俺ってば欲張り
まだ引き出そうとしてる


このまま勘違いしたら俺どうなんの

こいつの事
好きにでもなんの





「それは…



 
  












バイト採用されたら言う!」