必死の努力でなんとか高校に合格したものの、大好きな両親に新しい制服姿を見せてやることもできなかった。







「栞…、話があるの。」





それは新しい高校へ入学する直前、3月の終わりのこと。






いつも明るい姉が急に暗いトーンで話し始めた。





「なぁに?お姉ちゃん」




「私ね、会社で転勤になっちゃって。大阪に行かなきゃなんないんだ。」





「………え?」