新しい制服、新しいローファー。 新品の匂いに包まれて、私は玄関の鏡で念入りに前髪をチェックする。 前髪OK、制服OK、笑顔OK。 大丈夫、大丈夫。お父さんとお母さんはきっと見てくれている。 こうゆうのは初めが肝心だからね。 そう気合を入れて、私は少しの期待と不安を胸にいだきながらアパートのドアを開ける。 「いってきます。」 小さな声で、玄関に飾られた家族写真にそう声をかけて家を出た。