「なら、愛実が許してくれるまで、何度でも会いに来る」

そう言い切った翔哉。

「だとよ。兄貴」

え・・・?
伊蕗にぃ・・・?

「伊蕗、さん」

「つくづく、勝手な奴だな。篠田」

「・・・っ分かっています。
俺が勝手なのは」

「お前だけじゃない。お前の父親もだ」

「親父も・・・?」

「あ?何だ。聞いてないのか」

「だから、何を・・・」

「お前の父親は、この学園に来て
俺達にアポも無く、愛実に接触している。
一、会社の取り締まりならその対応が非常識だと考えるのが筋だろう」

「あ、あぁ」

驚いている様子の翔哉

「お前と愛実の婚約は、決定できない。
保留にはしておく。愛実次第だ。
愛実が許さなければ、これ以上の話はないし
別の婚約者のピックアップも済んでいる」

もう、候補を選び終わったんだ・・・

「そう、ですか」

寂しそうな顔をした翔哉があたしの方を見て来た

「しょ、」

「翔哉。篠田HDが喧嘩を売ってきたのは
お前じゃないことも、俺達は分かってる。
だから、残りの1年で、お前の親父を
今の座から降ろしてみろ。
それが出来なければ、愛実は別の男と婚約し、結婚する」

「いいんですか・・・?」

「あぁ。向こうで大体は学んできたんだろう」

「はい」